「ラファエッロの間」のまとめ(ヴァティカン美術館)

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「ラファエッロの間」最後は「レオ3世の信仰義認」です。
この場面はラファエッロが描いた数多くの教皇や司教の坐像の先駆をなすものと言われています。
 
ここまで「ラファエッロの間」の絵画をじっくり見てきましたが、全体的に思うところを簡単にまとめて見ます。
 
・基本的には当時の教皇ユリウス2世やレオ10世などの権威づけのために描かれたものなので、それに関連する絵柄が主となっている。といっても単純ではなく、巧みに彼らが登場する舞台を演出している。
 
・その一方「パルナスス」や「アテネの学堂」のように当時のルネサンスの自由闊達な雰囲気を偲ばせるような作品があるのは凄い。当時の学問的な理論のもとに、キリスト教の総本山にもかかわらずキリスト以前の哲学者や詩人が堂々と登場している。
 
・構図としては遠近法を駆使しており、限られた画面で奥行きも持たせている。また「火災の間」では構図も複雑になり、変化を持たせている。
 
・部屋の窓などで画面の形も色々だが、それに応じた作品作りを器用にこなしている。「聖ペテロの解放」や「パルナソス」は特に上手く画面上の制約を活かしている。ラファエッロらしい融通のきく面。
 
・あまりここでは触れなかったが、壁画だけでなく、天井画やその他装飾も凝っている。ただ混んでいる時には、なかなかそこまでには目がいかないが・・・。
 
・ラファエッロの作品は多くの種類があり、このラファエッロの間の絵画はあくまで彼の一部分である。
 
・それでもヴァティカンの奥で、ルネサンスの時代、極めて貪欲だったが芸術に対し見る目もあった教皇と、ラファエッロとその弟子がぶつかったことは、神の配剤というべき、人類にとって幸運なことの一つであった。