ルネサンス理想都市

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ルネサンス理想都市
中嶋和郎 著
1996年6月10日 第一刷発行
 
ルネサンスといえば、一般的に芸術の分野で語られることが多いです。
しかしこの本はそのような観点とは異なり、ルネサンスの人たちがどのような理想都市を目指していたか、という街づくりの視点で語られています。
まずはアルベルティなどのルネサンス人が、ローマ時代の人ヴィトルヴィウスの文献なども参考にしながら、いわゆる机上で作成した街(ペインティッド・シティ)の実例が紹介されます。
街の形は基本的に円形や星型などの整った形が多くなっています。そして中央に広場があり、道は碁盤目か、中央から放射状に伸びるようにしている例がほとんどのようです。
都市の姿は地図だけでなく、透視図画法で描かれた絵画や舞台芸術でも表現されています(ペインティッド・シティ)。遠近法を駆使して、リアリティを高めています。
その次の章ではダヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロにより、どのように理想都市が構想されたか述べられています。
三人とも芸術の分野だけでなく、都市や広場、建物の設計などでも成果を残し、それを図面や絵画作品の中に見出していきます。そしてカンピドッリオ広場の設計はその代表的な具体例です。
最後にそのような思想をいかに実際の都市づくり(ビルディング・シティ)にいかしたかを述べています。
イタリアのピエンツァなどは、そのような理想を現実化していった街です。
またウルビーノのパラッツオやジェノバのまっすぐな大通り、そしてローマのポポロ広場から延びる三叉路などで実現されていきます。