聖体の論議(署名の間、ラファエッロの間)

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ヘリオドロスの間に続いて「署名の間」に入ります。
ここは教会裁判が開かれた、ということで「署名の間」と名づけられています。ラファエッロの間の内、ラファエッロはこの部屋から装飾にとりかかりました。
ヘリオドロスの間は、史実の一場面を描いた絵画ばかりでしたが、この署名の間では絵画の種類も異なります。
当時のローマの人文主義を集大成した精神文化的思想に基づいた「オールスター勢ぞろい」といった感じでしょうか(笑)。
その中からまず、「聖体の論議」を紹介します。
この「聖体の論議」という題名は、ヴァザーリの叙述がもとになっています。しかし本来の絵画の意味からすると「秘蹟の礼拝」という題名のほうが適切なようです。
 
この絵画は、上段と下段に分かれています。
上段の中心がイエス・キリスト、そして向かって右が洗礼者ヨハネ、左が聖母マリアとなっています。
そして両側にはキリストの弟子達がいます。
下段にはユリウス2世やその甥のフランチェスコ・マリア・デッラ・ローヴェレなど、ラファエッロの間ではおなじみの人物とともに、向かって右側にはダンテそしてサヴォナローラまで登場しています。
サヴァナローラはフィレンツェ神権政治を打ち立てた人ですが、1498年に捕まり、火刑に処せられています。
その時から、この絵が描かれるまでには10年ほどしか経っていません。しかしユリウス2世が、サヴォナローラを失脚に追いやった中心人物のアレッサンドロ6世(前々の教皇)と敵対していたため、親サヴォナローラという図式になり、早々と名誉回復がなされたようです。