旅する力 深夜特急ノート

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旅する力 深夜特急ノート
著者 沢木耕太郎
装画 カッサンドル
発行所 新潮社
2008年11月30日 発行

沢木耕太郎氏の、子供の時の旅の思い出から、ライターとして活躍していく過程、そしてかの「深夜特急」のメイキングというべき話まで、いろいろ述べられています。
この本の表紙も、深夜特急と同じく、カッサンドルのポスターを使っているのは、彼のファンとして嬉しい限りです。
深夜特急は、バックパッカーのバイブルとも言うべき本ですが、通常では、欧州からアジアというルートが多いそうです。それが沢木氏の場合は、まず香港とバンコクを経由してインドに行き、そこから中東を経てヨーロッパという経路になっていました。本来はインドに直行する予定だったのですが、まず喧騒の?香港に寄ったことにより、外国生活に対してある程度の免疫が出来て、インドや中東でも無事だったようです。
欧州とアジアの違いとしては、アジアが旅人に対し、物売りや宿屋など様々な人々が迫ってくるのに対し、欧州では旅人から迫ってくる努力をしなければならない、という指摘が、両者の経済的、文化的違いを顕著に表しているなと思いました。
あと旅なれた沢木氏といえども、旅行直前は、なんとなく嫌になってくるそうです。「超旅行法」の野口悠紀雄氏も同じような事を書いていました。旅の達人が旅を恐れているのには深いものがあります。
この本の後半では、「深夜特急」発表後の顛末まで触れられていました。
サイン会で出会った人々の色々な感想や質問なども興味深かったです。
また「深夜特急」を正式に映像化したテレビ番組、そして模倣したかのような猿岩石の番組についての感想まで述べられていました。