とびきり陽気なヨーロッパ史

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とびきり陽気なヨーロッパ史
テランス・ディックス著
尾崎 まこと 監修
竹内 理 訳
筑摩書房
1996年11月10日 初版第1刷発行

各国の特徴をあらわしたものとして、女性の方には恐縮だが、「男の理想は?」という話がある。
それによると、男の理想といえば、アメリカの家に住み、ドイツの車に乗り、イギリスの背広を着、中国(イタリア?)のコックを雇い、日本人の妻を持ち、愛人はフランス女性に限る、というものだった。
これに近いものとして、EU版もあり、加盟国の国民性をユーモラスに皮肉ったものがある。
例えば下戸のアイルランド人、料理の上手いイギリス人、きっちりとしたイタリア人、ユーモラスなドイツ人などなどの内容だったと思う。
それをイラストで表現したお土産物を、欧州議会の土産物屋で見たような気がする。

そんなノリで、当時のEUの加盟国の歴史を書いたのがこの本である。
著者はイギリス人で、イギリス人の子供に対し各国の歴史を楽しく学ばせるために書かれた物で、面白く読みやすい。ただそれゆえ自国イギリスの歴史には触れていなかった。
それにしても、シーザー(カエサル)とナポレオンとヒットラーがあちこちの国に出てくる。
本当に周辺国にとっては迷惑な存在だったんだろうなと思う。

フランスの歴史では「長すぎるからどこから始めれば見当がつかない」と前置きしており、結局800年のカール大帝のところから書いてあった。
個人的にはぜひウェルキンゲトリクスの所から書いて欲しかったのだが(またシーザーが出てきてしまうが)、まあしょうがない。
ちなみにフランス人がフランスの子供向けに、100のフランスの歴史の出来事を書いた本では、具体的な人物ではウェルキンゲトリクスが(シーザーに降伏した場面だが)一番初めに出てくる。

あとイタリアの歴史のところでちらと書いてあったのだが、あの地味なクラウディウス帝の連続ドラマがBBCで放映され、人気が沸騰したらしい。
カエサルやアウグゥストスなら華やかなヒーロー物、カリグラ(カリギュラ)やネロならどろどろとしたエログロ物で、それなりの評判もあるかと思うが、イギリスのクラウディウス人気というのは、彼の一ファンとしても意外だった。本当だろうか?