冬のパリの下宿と民宿の夜

再びカルヴァドスの民宿に話を戻す。
食事も終わり、夜遅くなってきたので、各自民宿の部屋に戻る。
シャワーを浴びて、寝ようとするが、どうも寝付けない。
相部屋で、慣れないベッドということもあるが、温度のアンバランスさもその原因の様だ。

パリの下宿では、こんな事は無かった。
とっても、その下宿は大していい部屋ではない。
築三十年くらいのアパルトマンで、たいして新しくもない。
壁もすすけた感じで、ちょうど宇多田ヒカルさんの「ぼくはくま」のビデオクリップの部屋のような感じだ。
そして、ときどき、「まくまくん」ならぬ、ねずみがチューチュー走っていたようなところだったのだ。
それでも冬は快適だった。
その理由は「床暖房」にある。
冬でも部屋が全体的に暖かく、朝起きる時でも、「寒かった」という記憶が無い。

そんな状況に慣れていたため、山奥の冬の夜、暖房機がちょこんとあっても、「寒い」か「暖かい」がはっきりしてしまっている。
おかげで、なかなか寝付けない中、更けていくカルヴァドスの田舎の夜、という感じであった。