オルセー美術館展にて⑩頑固おやじセザンヌ

最後はセザンヌについて。
今回の展覧会では、おなじみのサント・ヴィクトワール山と、肖像画が展示されている。
何も知らない時に、セザンヌという名前を聞いたときは、きれいな名前だなと思ったが、いろいろ絵を見たり調べたりしていくうちに、とんでもない頑固おやじなんだなと思った。(もちろんいい意味で)
「トランプをする人」などの人物画でも、なんでもない人たちを、これでもかという感じで描きこんでいる。そして構図に緊張感を持たしている。
構図は原型を大きく崩しているわけではないが、それでも独特で、現代絵画の苦手な自分なんぞにはちょうど心地よく感じる。
今回のサント・ヴィクトワール山なども、いかにもそのような構図である。
自然を残しつつ、独自の視点で微妙に歪ましている。
そのためには、身なりなどにかまわず、時には子供に石を投げられたりしながら、ひたすらこの山に向かい合ったそうだ。
そして、独自の美を表現している。
近代絵画の父といわれるのももっともである。
逆にいえば、彼の後に画家を志した人は大変だっただろうなと思う。
仕方なく?ピカソは思いっきりモチーフをゆがめ、マティスは思いっきり色合いを、どぎつくせざるを得なかった。

今回のオルセー美術館展について印象派を中心に、浅学の身にもかかわらず、いろいろ書いてみたが、とりあえず日本でこれだけのものを見れるのは大変貴重なことだと思う。
神戸では1月そうそうに終わるとのことなので、関西地方の人で、まだ見られていない方はお早めに、いかれた方ももう一度、と頼まれたわけでも、また関係者でもないのに、宣伝しておきます。