ボルジア家風雲録 上 教皇一族の野望

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ボルジア家風雲録 上 教皇一族の野望
吉田良子 訳
2013年8月15日 第一刷発行

かの「三銃士」や「モンテ・クリスト伯」の作者。アレクサンドル・デュマによるボルジア家の、かなり史実に近い小説です。
原題は LES BORGIA  (CRIMES CELEBRES) vol.1、つまりボルジア家(著名犯罪集)というおどろおどろしい題になっていますが、内容自体は過激な模写は抑制されたものになっています。

プロローグでは、ロレンツオ・イル・マニフィーコの臨終のシーンから始まる。
それを見取るのが、かのサヴォナローラ
この後に起こる厄難を暗示している

そしてコンクラーベの様子
教皇になるため、ボルジア家が裏工作する様子が描かれる。
ローマ市民にとっては、誰が選ばれるかで、その後の平穏か無秩序か、正義か欺瞞か、平和か戦争か、が決まってしまう

当時小国が乱立するイタリアの周辺には、東にはトルコ、南ではスペイン、西ではフランス、そして北にはドイツがあり、イタリアを狙っていた。
そのようなイタリアに侵入するフランスのシャルル8世
塩野七生先生の書かれた小説と比べて、アレッサンドロ6世との面会時や、撤退時のターロ川の戦いにおいては、シャルル8世はそんなにひどくは書かれていない。さすがにフランス人作家のものゆえであろう)

その後、チェーザレによるガンディア公の暗殺(この小説ではチェーザレの兄のフランチェスコという架空の人物になっている)、聖職の離脱、そして結婚などで、チェーザレの権力基盤を着々と整えていくところで上巻は終わる。