森鴎外 近代文学界の傑人

イメージ 1
 
別冊太陽 日本のこころ193
森鷗外 近代文学界の傑人
山崎一穎 監修
平凡社 発行
2012年2月17日 初版第1刷発行
 
森鷗外について
鷗外の生涯
鷗外という鉱脈
父なる鷗外
鷗外文学の森
鷗外の脳内
終焉にみる鴎外の思想
という区分で、豊富な写真と共に紹介しています
 
鷗外は昼は官界で職務遂行者として、夜は表現者としての顔を持っている。
昼の官事は精神を消耗させる。
昼の怒りを鎮め、己を相対化し、浄化し救抜するために、夜は表現者になることで二生を生きる
 
賀古鶴戸
陸軍軍医。鷗外と東京大学医学部同窓として終生の友。
鴎外の自叙伝という側面を持つ小説「ヰタ・セクスアリス」に古賀として登場
(その小説の中に、古賀は硬派で美少年に特別な保護を加えているという一文があったが、当時は大丈夫だったのだろうか?)
 
ドイツ留学時代
衛生学の実験・実習
洋書によりドイツ・ヨーロッパ文化の吸収
鷗外とエリーゼ・ヴィーゲルトとの恋愛と別離
文学・演劇・美術・行楽等「自由と美」の時代
ナウマンとの日本文化論争
ベルリン時代の堅苦しい日々
 
何時(鴎外の家に)行って見てもたいてい何か書いている。
話をして居ても気を止めないで、同じように話し相手になりながら書いている。すらすらと苦もなく賭けていく
賀古いわく「鴎外の書くのは欠伸をするようなものだな」
 
鷗外はガーデニングが趣味であった
これもドイツ留学時に培われたものと思われる
娘の森茉莉が留学先の街を訪ね「父の世界があった。垣根越しの家々に見える家々の草花が父の家の花畑の花と同じである」と書いていることからも裏付けられる。
 
鴎外の歴史小説は封建時代を描いていても、その時代の道徳や価値観を全面的に美徳として肯定したり、推奨したりしていない。
逆に、封建時代に限らず、世間では常識とされている道徳や価値観を根底から問い直そうとする作品が多い
 
鷗外はノート魔であった。
関心のあるテーマについての記事を見つけると、それを抜書きする
挿画(時にカラー)を加え、語義や語彙に関する記述も多い
ヰタ・セクスアリスでその旨を書いていたが、現物はきれいにまとめられていた)