ルネサンスの名画101

 
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ルネサンスの名画101
高階秀爾・遠山公一 編著
新書館 発行
2011年12月1日 初版発行
 
この本では、ルネサンスの名画を、
後期ゴシック
に分けて紹介しています。
 
後期ゴシックの画家、ジョットは近世絵画の祖として知られる革命的な画家。
「ユダの接吻」における、キリストの眼差しは野卑なユダの眼差しを捕らえて離さない。聖書の物語を実際のドラマと心理の延長線上にとらえている。
 
マザッチョは、初期ルネサンスの真に最初の画家であり、夭折した天才であった。
ブランカッチ礼拝堂壁画における
幾何学的な線遠近法とシステマティックな投影表現
「貢の銭」では、三つの場面が同時に描かれている。異時同図であるが、空間的には完全に統一されている。
右の建物の画面に対して直交するすべての線はキリストの頭部に集中する。これが線遠近法の中心(消失点)である。これによりわれわれの視線は自然とキリストの頭部に集められる。
また背後の山々は、次第に薄めることにより遠景を表現している。これが色彩遠近法である。
登場人物の影は、向かって左に統一されている。これは礼拝堂の実際の窓から差し込む自然光を光源として、統一された陰影表現を行っている。
 
1520年前後の、混乱と不安に満ちた危機の時代を背景として生まれた「マニエリスム
ラファエッロやミケランジェロの「マニエラ」(様式)を受け継ぎながら、
そこには古典主義芸術を支えていた静かな安定感は失われ
極端に引き伸ばされた人体比例
ねじれたポーズ
派手な身振り
複雑な群像構成などによる誇張、気取り、奇想にあふれた世界が展開される。
そしてフランスのフォンテーヌブロー派の成果が注目される。
(当時のフランソワ1世はかのダヴィンチを招聘した王だった。このあたりから文化の中心がイタリアからフランスへと流れていく)
 
ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻像」や
クエンティン・マセイスの「両替商とその妻」の凸面鏡に映る象徴的な絵柄
細かい中まで描き絵の中の物語に含ませる工夫