名画で読み解く「聖書」
大島力 監修
世界文化社 発行
2013年6月20日 初版第1刷発行
83の名画を紹介していますが、そのうち自分が初見で、なおかつ気になった二点を紹介します。
作者は18世紀後半のイタリア・ロマン主義の画家アイエツで、題名はこの女性の名前そのままで「ルツ」です。
最初図書館で立ち読みしていたとき、胸が不自然に露わになっている姿に、思わずドキリとしてしまいました(笑)。
落穂拾いをしている姿ですが、ミレーの落穂拾いとは違い、妙に官能的になってしまっていますね。
イエスが洗礼の後、荒地で40日間断食をしている姿がモチーフになっています。
上の「ルツ」とは違い、こちらは極めて禁欲的です。
ここでキリストは悪魔と対峙し退けるのですが、この絵では悪魔の姿は全く描かれておらず、寒々しい岩場が地平線まで広がっているだけです。
この作者クラムスコイは19世紀ロシア美術を代表する画家です。
このイエスの姿は、人民の救済を目指しつつ、孤独に芸術を追求する画家自身の精神的肖像であるのかもしれません。