旅のあとさき[イタリア・エジプト編]

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旅のあとさき[イタリア・エジプト編]
世界を盗もうとした男
2009年6月30日 第一刷発行
 
エジプトからイタリアにかけて、ナポレオンの足跡を追った旅行記です。
フランスからナポレオンを見ると、まだ英雄としての要素が強いのですが、侵略された場所から見てみると、なんだかナポレオンなんて、侵略者でなおかつ独裁者で、本当にいやな奴だなあ、という気持ちのほうが強くなってきます。
それでも興味深いエピソード満載なので、楽しめます。
また、ナポレオン関連以外の、各地の著名人や歴史的事件の逸話満載なのは、さすがに博識な著者の面目躍如たるものがあります。
更に、各地で美食や美酒を楽しみ、その内容と感想をきっちりと伝えてくれているので、グルメな読者にも参考になります。
羨ましいなと思う一方、胃腸と肝臓が丈夫でないと、この旅行にはついてこれないな、という気もしましたが・・・(笑)。
ちなみに著者は、エジプトを意外と美食帝国ではないか、と決めていました。
 
ヴェローナのダンテ。文学者として温かく迎えられたが、彼の本質は政治家だった。「神曲」はその政治家としての挫折の代償にすぎなかった。
 
ゲーテの書いた「イタリア紀行」はイタリアについての最高の一冊といえる。著者はもしイタリアに一冊しか本を持っていけなかったとしたら、この本を選ぶ。この本には記述の生彩さだけでなく、生の歓びがあふれている。イタリアという土地が、生きているということの祝福に溢れていることを端的に示している。