探検ロマン世界遺産スペシャル パリ を見て

NHKの「探検ロマン世界遺産」がスペシャルでパリを紹介していたので見る。
普段は45分の枠なのだが、さすがパリだけあってスペシャル版になったのだろう。
この街をどういう風に紹介するのかなというのも気になっていた。

テレビ欄では「パリジェンヌが紹介」となっていた。
普段は日本人のレポーターが紹介している。
今回のレポーターは、パリに住む18歳の女の子だった。
可愛らしく、賢そうな女の子で、黒髪で黒い瞳だった。
公募で選ばれたらしい。
パリの紹介の途中、まず彼女のお母さんが出てくる。
お母さんは、金髪の女性だった。
そして兄弟、これも母親と同じような容姿。
そしてお父さんかな、と思っていたら、義父の~さんと紹介されていた。
その内、彼女の本当のお父さんはアルジェリアから来られた方で、2歳の時両親は離婚し、今は母の新しい夫、そして彼らの子供たちと一緒に暮らしていることがわかってくる。
離婚したが、今も仲良くしているというのが、少し不思議な気もするが、いかにもフランスらしいともいえる。

パリの街並みの美しさや、印象派、そして地下の巨大迷路などを紹介しながら、フランスの人権宣言、自由・平等・博愛などの精神を紹介する。
その一方、レポーターの女の子は、パートタイムの申込みの履歴書に、自分のもともとの父の苗字と母のそれを両方書くと、全てだめだったとのこと。
友達は受かったのになぜだ、と意見を聞いてみると、父の苗字がアルジェリア人としての、典型的な苗字だったからではないか、とのことだった。
フランスの移民に対する差別を身をもって感じる彼女。
その内、同じ学校の中国人の生徒が、不法か政治難民か、フランスに滞在できるかどうか、という裁判が行われる事になった。
署名活動を行う彼女。
結果は無事、その生徒の身分が認められ、フランスに滞在できるようになった。
そして最後、アフリカンミュージシャンのコンサートの模様で番組の幕は閉じる。

ただのパリ紹介に終わらず、移民の問題のような地味でシビアな問題を敢えて取り上げていただいた製作者の皆様に心からの敬意を表したい。
もちろんきれい事だけではすまない、難しい事ではある。
それでも、多様性の面をパリの象徴として、視聴者に伝えていただいた事に、フランス、そしてパリを愛する者として、たいへん嬉しく感じた次第である。