聖母のルネサンス マリアはどう描かれたのか

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聖母のルネサンス
石井美樹子 著
2004年9月28日 第1刷発行
岩波書店

聖母マリアの「受胎告知」について、様々な絵を取り上げ、その特徴や意味を説明している。
例えばその場面では、聖母マリアはだいたい本を読んでいる。
現代の感覚からすると、単に何となくひまつぶしに読書している所に、天使ガブリエルがやってきて・・・、位しか思えない。
しかし書を手にしていることは、マリアが神(ロゴス)の母であり、豊かな知性において並ぶもの無き女性である事を示しているそうだ。
よって、受胎告知の場面だけでなく、幼いイエスと一緒にいる時でも、本を読んでいる姿が見られる。
また主にイギリスでは、マリアの母、聖アンナがマリアに読み書きを教えているような絵もある。
学問を重んじたドミニコ修道会により、そのような絵で、学ぶ事の大切さを教えていたようだ。
更に男性中心の中世社会で、自分の言葉で語った、数少ない女性たちも紹介している。
女性ゆえ、一歩間違えれば魔女扱いされるような状況下でも、豊かな知性で、堂々と知的論争をくりひろげた女性もいたのだった。