白猫スマイリーの奇跡の猫背③

そう、アミアンの大聖堂で見かけた、聖母マリアさまが立っていたのです。
目の前のお姿はどうやら怒っているようです。
スマイリーを睨みつけながら、マリア様は言います。
「私はお前が心の清らかで、ピュアな子猫だと思っていました。それがいったいなんですか、みんながお供えのご馳走を持ってくるのをいいことに、欲望の塊となって自堕落に過ごす日々、本当にお前には失望しました。」
「ひえー許してぇ~」スマイリーは丸く縮こまって許しを請います。
「それからね・・・」マリア様は声を低くして続けます。
「お前が太りすぎたおかげで、私の顔も太ってしまっているじゃない!」
スマイリーはどきっとしました。
そうなんです。鏡でそっと背中を見てみると、スマイリーがぶくぶく太ったため、背中の表面積が広くなり、マリア様の細面の顔もでっぷりとしてしまったのです!
「残念ですが、その背中は元に戻します」
と冷たい声で言うと、マリア様からまぶしい光が発せられました。ちょうどアミアンの大聖堂の前でスマイリーが感じたのと同じような光線が・・・。
「ふにー・・・」
背中に熱いものを感じながら、スマイリーは別世界に落ちていくように感じました。もうこれでみんなにあがめられるのも、そして大好きなご馳走ともお別れなのか、と感じながら・・・。
(続く)