ローマ人の物語ⅩⅢ ディオクレティアヌス帝

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ローマ人の物語
最後の努力
塩野七生 著
新潮社
2004年12月30日 第2刷

紀元284年に皇帝になる「ディオクレティアヌス
兵士出身の皇帝である。
帝国の安全保障と構造改革のため、建て直しを図る。
まずは二頭政ということで、戦闘に強いマクシミアヌスに皇帝の座を「分与」する。
さらに293年、四頭政というシステムを確立する。
東方と西方で、それぞれ正帝・副帝を任命するのである。
それで防衛システムを強固にし、なおかつ後継者争いでもめないように工夫したのだった。
これは一定の成果をおさめるが、その一方兵士の増加による負担増や兵士の蛮族化も見られるようになってしまった。
そして官僚機構も、増大になってしまう。なにしろ4つの政府があるのと同じような状態だからだ。
それを支える財政も「中央政府」「地方自治体」「個人による利益の社会的還元」から、中央政府が決める財政の帳尻をあわすための重税だけになってしまった。
更にキリスト教徒に対する弾圧も行われる。

そんな彼だが、あっさりと引退する。
自分の考えた、四頭政で、磐石だろうと思ったのだが、五賢帝のときのように、男の実子が殆ど無かった時ならよかったものの、このときはそうでなかった。
ディオクレティアヌスは実力で後継者たちを選んだのだが、有力者の実子がはずされると、それを担いだ反対勢力が出てくる恐れが強い事をどう考えていただろうか。
また自分が皇帝という権力を失った時、他の人がどう豹変するかを。