オルセー美術館展にて②

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講演会の整理券を胸ポケットに入れ、1階に戻り、展覧会場に入る。
まず右手に、ベルト・モリゾの「ゆりかご」が見える。
眠る子供を見つめる、優しい母親の姿である。
第1回印象派展で他の作品が散々けなされる中、この作品は割と高評価だったのもうなずける。

今回の展覧会、ポスターはマネの描いたモリゾの姿だった。
神戸市博物館に行く途中、駅などでも、チラシも含めて、あちらこちらに彼女の姿が見られた。
これを描いたマネの、モリゾに対する気持ちはどんなんだったんだろうなと詮索してしまう。
この他にも、マネはモリゾを描いていている。
自分が一番好きなのは「バルコニー」という、他の二人のモデルと一緒に描かれた作品だ。
他の二人(男女)が、ほんわかしている雰囲気なのに対し、モリゾは大きな瞳で、鋭く何処かを見つめている。
彼女が見ているものはなんだろうか。
画家としての野望か、それとも全く違ったものか。
一方マネから見た彼女の視線はどこに行っていたのか。
マネの思いはどうだったのか。
いろいろ複雑だったような気もする。

その後、モリゾはマネの弟と結婚する。
そのあいだに生れた娘は母のモデルとして、多くの絵に登場する。
今回の展覧会では、ルノワールが描いた娘の肖像が展示されていた。

(写真は今回の展覧会の画集の表紙。ポスターでも使われていた方のモリゾの肖像です)