オルセー美術館展にて③(ブーダン・モネ)

1階の人物画を鑑賞した後、床に在る順路に沿い上の階にあがる。
その階のフロアは、「特別な場所」と題されている。
絵を見ていくと、ブーダン・モネ・シスレーピサロとほぼ並んでおり、自分のような印象派の風景画好きにとってはヨダレが出そうになる。
まずブーダンの「トゥルーヴィルの海岸」であった。
彼らしい、浜辺の人たちと、遠い曇り空、という感じであった。
この辺りは、冬の寒い時に、みんなとドライブに行ったものだった。
山の上から寒々とした曇り空と寂しい海辺を見たり、カジノに入って他人の遊んでいるのを眺めていたりしたものだった。
近くのオンフルールにも立ち寄り、昼ごはんを食べたりしたが、そこのブーダン美術館は昼休みで(日本では考えにくい)見れなかった悔しい思い出があった。

その次に、モネの「アルジャントイユの船着場」を鑑賞する。
そういえば、フランス語の教室で、この絵画を題材に方向の前置詞の勉強をした覚えがある。
河に浮かぶヨット、橋、左側には並木道が伸びており、風景と混ざった人たちがのんびり歩いている。
並木の陰、そして広く広がる青空と雲、がなんとも言えず、いとおしい。
改めて見ても、自分にとっては、モネの最高傑作の一つだと感じる。
アルジャントイユは、わざわざRERで遠回りして行った思い出があるが、(帰りはサンラザール駅まですっとパリに帰れた)いわゆるただの郊外の町という感じで、自動車道のため結局河のそばにもよれず、すごすご帰ってきた思い出が残っている。
まあ時代が過ぎたからしょうがないが、それだからこそ絵画という形でしっかりと後世に残してくれているのは、本当にありがたいことだなあ、と思う。