フランスと世界
渡邊啓貴 上原良子 編著
2019年11月15日 初版第1刷発行
法律文化社 発行
この本は、フランス外交やフランスと世界をめぐる事情に関心を持つ大学生を対象にして編纂された教科書、とのことです。
総論 フランス外交の歴史
1 第三共和制(1870~1940年)の外交
2 第二次世界大戦後の国際環境とフランス:対米協調・植民地帝国維持・欧州統合とドイツ
3 フランスの「偉大さ」を求めたドゴール外交(1958~69年):演出された自立
4 ポンピドゥー時代(1969~74年):緊張緩和時代のフランスの外交政策の転換と連続性
5 ジスカール・デスタン時代の外交(1974~81年):継続性の中の変化
6 ミッテラン時代の外交(1981~88年、1988~95年)
7 シラク時代(1995~2002年、2002~2007年)の外交
8 フランスの存在感を高めたサルコジ外交:過去との決別
9 オランド外交:大西洋均衡・ユーロペシミズム・アフリカ介入
10 中道派「ドゴール主義」のマクロン外交
第Ⅰ部 地域編
1 フランスとドイツ
普仏戦争から第二次世界大戦まで、フランスとドイツは「先祖代々の宿敵」
しかし冷戦により、脅威がドイツからソ連になった。またドイツは分断国となったため、この敵対的関係は180度かわった。
2 フランスとヨーロッパ
3 フランスとアフリカ
フランス人にとってアフリカとは、アフリカ大陸全体を指すのではなく、かつての植民地であったフランス語圏アフリカ諸国のこと。
ただ、マグレブ諸国(チュニジア・アルジェリア・モロッコ)とは一緒くたにすることはできにくい。
4 フランスとマグレブ
5 フランスと中東
6 フランスとインドシナ
7 フランスと南太平洋島嶼
第Ⅱ部 トピック編
1 フランスの政治
2 フランスの軍事・国防
「同盟すれども同調せず」という風に米欧同盟の中でもアメリカとは一線を画する立場をしばしばとってきた。
3 フランス経済の特質と変貌
フランスは最近まで「経済に弱い」という風評があった。その理由として
・歴史的に形成されたカトリックの支配。利潤追求は神の意志に背くというカトリックの教え
・「人口増加は失業と悲惨をもたらす」というマルサス主義の悪影響
・フランス資本主義の後発性。フランス革命による経済的打撃
だが第二次大戦後、国有化と計画化による「ディリジスム」(国家主導主義)の改革を成功させた。
4 フランスの経済・金融
フランスは典型的な「開放小国経済」(資本の流出入が自由に行えるが、自国だけの都合では為替を操作することができない国の経済の姿を示す用語
2018年の銀行ランキング。総資産額のベスト20のうち、フランスは4行を占める。かつては全く異なる業態に属していた。
クレディアグリコル(農業信用金庫)
ソシエテ・ジェネラル(預金銀行)
BPCE(庶民金融機関と貯蓄金庫)
それが今日ではいずれも大々的に海外業務を営む総合銀行・兼営銀行に展開している。
5 フランス文化外交の変遷
6 フランスの農産物
1970年代末から2000年代初頭まで、ほぼ一貫してアメリカに次ぐ世界第二位の農産物輸出国の位置を維持していた。
しかし2010年から2014年まではアメリカ・オランダ・ドイツ・ブラジルに次ぐ第5位、2015年以降は中国に次ぐ第6位となっている。
7 フランスと原子力
8 科学技術とフランスのグローバル戦略
9 フランスの脱植民地化
脱植民地化の諸類型
・植民地戦争の結果としての脱植民地化(インドシナ・アルジェリア)
・整然とした脱植民地化(サハラ以南の仏領アフリカ)
・新しいフランスとのパートナーシップ(その他の海外領土)
10 フランスの自治体外交
フランスにおいて自治体国際協力に法的根拠を与えたのは1982年3月2日の地方分権法
アフリカ・インド洋地域の自治体国際協力プロジェクト件数の上位10か国は、かつてフランス植民地帝国の支配下にあった国々で占められている。
11 フランスの移民