2016年2月4日 読売新聞朝刊 想う2016より
テロ犯を生んだのは仏社会だ。問題の根は政治が経済・社会運営で失政を重ねてきたことにある。移民2世らを経済システムに取り込むことに失敗し、都市郊外に追いやってきた。
テロ犯が二重国籍を持つ場合、仏国籍を剥奪する方針を決めたのだ。
愚かな考えだ。爆弾を腰に巻き、パリの雑踏で自爆を決意したテロリストが、仏国籍を失うことを恐れて自爆を断念するだろうか。
国籍剥奪は
③フランスらしさを失う。人間は平等で、機会は均等であるべきだ、と
フランスには二つのフランスがある
「自由・平等」を志向する地域
パリ盆地から南西に広がる「中央」で国土の3分の2
カトリック信仰を18世紀半ばに失い、仏革命を支持した
ナチスドイツに抵抗した
「権威・階級」を重視する地域
南西部、南部、北部など「周辺」で国土の3分の1
信仰を維持し、革命に反対した
ナチスドイツに協力した
米欧や日本で、程度の差こそあれ、不平等への逆走、階級社会の再構築が進行している。
その原因として
教育の不平等の広がり
高齢化による社会の硬直化。人類学的変異
日欧に共通するのが宗教の失墜
個人は孤立し、利己的になり、社会は内向きになる。未來展望は無い
こういったことに対して、それぞれの伝統に解決を求めている。
米英は不平等を高じさせる経済自由主義