イタリア現代史(中公新書)

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イタリア現代史
藤武 著
2016年1月25日発行

この本では、第二次世界大戦と冷戦という二つの「戦争」と「戦後体制」としてそれぞれ生まれた、二つの共和制を通してイタリアの現代史を描いています。
19世紀後半政治指導者カヴールやガリバルディなどの活躍により統一国家の建国
第二次世界大戦と対独レジスタンスを経て第一共和制が誕生
デ・ガスペリ時代の戦後再建
1950年代後半の高度経済成長
60年代末から70年代にかけての経済危機や元首相モーロ暗殺などテロリズムの嵐
80年代クラクシなどの新リーダーの下でつかの間の繁栄
90年代には冷戦終結・構造汚職噴出と経済グローバル化がもたらした激動の中で第一共和制は終焉を迎える
第二共和制ではブローディとベルルスコーニという左右のリーダーを軸に、政治の刷新を掲げ出発する

イタリアではレジスタンス勢力により、自力で解放を果たした。それにより連合国軍に対するイタリアの発言権を強める源となった。ドイツと違い、連合国の直接占領ではなく、間接占領に置かれ、日本と比べて占領期間が短くとどまった。

イタリア外交の基本戦略には、
アメリカを含む西側軍事同盟を重視する大西洋主義
中東アラブ世界、ときには共産圏との自律的外交を重視する第三世界主義
欧州統合を重視する欧州主義
が存在した

1993年頃のアマート政権
多くの閣僚が汚職に関する捜査通告を受けて辞任に追い込まれたため
独立の専門家か政治色の薄い専門家が中心となった。
このためアマート政権は、この後に何度か登場する
非政党専門家による政権(テクノクラート政権)のはしりとされる。

統一以後のイタリアで、政治指導者個人の名前を冠して一般に呼ばれる時代
20世紀初頭のジョリッティ時代
共和制建設期のデ・ガスペリ時代
そして20世紀末から21世紀初頭のベルルスコーニ時代だった

21世紀イタリアにおいて、停滞の原因として真っ先に持ち出されるのが
「老人支配」(ジェロントクラシー)
2012年、イタリアの政官財の指導者層の平均年齢は59歳と、欧州では図抜けた高齢だった。
それゆえ若者の利害を反映する機会が非常に限定されており、若い優秀な人材は海外に活路を求めるようになってしまった。

もう一つの問題は
「決められない国」となってしまう政治・社会制度
裁判や行政の非効率性も問題