鬼才伝説 私の将棋風雲録 加藤一二三 著

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鬼才伝説 私の将棋風雲録
加藤一二三 著
中央公論新社 発行
2018年2月25日 発行

今を時めく「ひふみん」こと加藤一二三さんの著書です。
基本的には自叙伝ですが、大山・升田・二上・中原・内藤・谷川・羽生・渡辺・そして藤井聡太さんなど名棋士とのエピソードや、キリスト教への思い、そして最近のテレビ出演まで、加藤さんらしいこだわりをふんだんに織り込んだ熱い文章になっています。

画家の梅原龍三郎と二枚落ちで指したエピソード
梅原画伯は素晴らしい手を指し続けたが、最後の最後で間違えた。それで最終手を緩め、花を持たせてあげた加藤さん。
その棋譜を見た他の棋士が、最後加藤さんが緩めていることを指摘すると、梅原画伯はご立腹する。
ソクラテスよろしく弁明する加藤さん。それでなんとか許してもらう。
梅原画伯は人生を本気で生きた人だった。

バチカンで法王ヨハネ・パウロ二世に謁見する加藤さん。
数十メートル先に座っていた法王。そのお姿を50枚以上バシャバシャ写真に撮る加藤さん。
そして「ビバ・パパ」(法王万歳)と大きな声で叫ぶ。
すると法王は加藤さんに向けて手を振ってくれた。
それで「香車一本強くなった」気がした加藤さん。

谷川浩司永世名人の良さは自戦記にも表れている。
谷川さんの書いたものを読むと、神という言葉は使っていないが、ある種の「導き」を意識しているのが感じられる。
他の棋士とは少し違う。
ただ「将棋の神様」という言葉を使うのはいかがなものかと思う。
加藤さんの認識からすると、神様は神様であって、将棋の神とか、絵の神とか、音楽の神とかは存在しない。
(確か谷川さんの実家はお寺ではなかったか。宗教という共通点はあるのだろうが、やはり一神教多神教の違いか?)

王位獲得後の1986年、聖ヨハネ・パウロ二世の名において、聖シルベストロ教皇騎士団勲章を授けられる。
騎士になった棋士(笑)