シャルリとは誰か? 第1章 宗教的危機 第2章 シャルリ

歴史の中で、信仰が変質したり崩壊したりすると、その後にしばしば革命的な事件が起こる。
形而上学的な枠組みが消失すると、人々の間にほとんど機械的に代替イデオロギーが浮上する。
それらのイデオロギーは、それぞれが標榜する価値において多様だが、たいてい物理的に暴力的なものとなる。

カトリシズムに特徴づけられるフランスがただ一つ存在しているのではない。
そうではなくカトリック的フランスが二つあるのだ
①18世紀の中葉にはすでに教会を捨ててしまったカトリック的フランス
②1960年頃まで信仰を維持していたが、そのあと遂に熱心さを失って、これまた無信仰に沈んだカトリック的フランス

ユーロという単一通貨の採用という、一つの経済的プロジェクトへの賛同を決定したのは宗教ではなく、宗教の退潮であった。
退潮いちじるしく、消失していく宗教の代替物としてひとつのイデオロギーが求められたのであった。
そのイデオロギーとはひとつの偶像的通貨の創出であって、それをユーロと呼んでも、金の仔牛と呼んでも大して変わりは無い。

ゾンビ・カトリシズム
カトリック教会がその伝統的拠点地域において最終的に崩壊した結果として生まれた人類学的・社会学的パワー

シャルリのデモ参加者の分布において、労働者の無関心が管理職の熱心さ以上に決定的であったことがわかる。
興奮が中産階級に集中しているという事実は、人民戦線よりドレフュス事件を思わせる。

あの大デモの主要テーマ
「私はシャルリだ、私はフランス人だ、私には、自分のカトリシズムに対するのと全く同様に他者たちのイスラム教に対しても冒涜する権利があり、さらにその義務さえある」

ストラスブールはデモ参加者の率は高くなかった。
アルザス地方の二つの県とモーゼル県は、1871年から1918年までドイツに属し、1905年の教会と国家の分離を体験しなかった。
これらの県は1801年の政教協約の規則のもとにあり、冒瀆への権利を認めていない。

デモ行進を実施させた決定要因は、マーストリヒト条約批准への賛成票を投じさせた決定要因と同じだ。
強いモチベーションを示した社会階層は
公共部門と民間部門の中産階級
カトリック教徒のゾンビの多い地方において富裕化した中産階級であった

フランス社会を特徴づける宗教的混乱の中に、次の4つの基本的条項が見られる
①無信仰の一般化
②被支配的状況におけるマイノリティの宗教であるイスラム教への敵意
③被支配的状況にあるそのグループの内部での反ユダヤ主義の台頭
④その反ユダヤ主義台頭に対する、支配的世俗社会の相対的無関心