代議制民主主義 第3章~

世界の代議制民主主義の一つの共通した構造
委任と責任の連鎖
有権者→政治家→官僚に至る委任の流れ
官僚→政治家→有権者に至る説明責任の流れ

二つの基幹的政治制度
執政制度
政府の樹立や運営に直接的に携わる政治アクターの間で、誰が何を担うかという分業関係や権限関係を定める
誰を政治家にし、彼らに総体としてどのくらいの時間を与え、何を行わせるか定める

政府を運営する上での責任者である「執政長官」(大統領や首相)をどのように選任するか、および固定的な任期を与えるかによって、基本的に「大統領制」と「議院内閣制」に分けられる

政党を単位としてなされるまとまった行動のことを政党の「一体性」と呼ぶ
一体性を確保する手段として「凝集性」と「規律」の二つがある
凝集性・・・政党を構成する議員たちがもともと同じような政治的立場を持っていること

多数主義型民主主義
政策決定の権限を与党が独占的に収める
野党からの質疑や批判は与党との立場を有権者に示すために成され、法案修正や廃案には結びつかない
国会では既に結論が決まっている事柄に対し質疑や討論がなされることとなり、微細な知識や遠い過去の答弁との整合性を問うて揚げ足を取るような質問と、それを逃れようと安全運転に徹する答弁が目立つことになる
そして「決めすぎる政府」と「無駄な国会」のセットのように感じる
「アリーナ型議会」

国政と地方政治において異なったレベルの政府の類型が成立している
マルチレヴェルミックス(異なる政府レヴェル間の組み合わせ)
その場合、政党のあり方への複雑な効果
同一政党でありながら異なった組織構造になる、あるいは政党間に異なった勢力関係が成立する
日本はマルチレヴェルミックスの観点からは多数主義型を貫徹しているとは考えられる、むしろ一著しく一貫性を欠いているといえる

委任と責任の連鎖関係を円滑に機能させることで代議制民主主義をより良いものにしていくには、適切な誘因構造に基づいた明確な契約関係の構築が必要
誰に何を委任するのか
委任内容が果たされた場合の報酬
果たされなかったときの責任や制裁の明示

議院内閣制においても、マスメディアの発達により、一般有権者から個人的な人気を獲得して、それを影響力資源として与党を服属させる首相が多くの国に登場している

選挙制度の選択は、世界全図を描く作業と似ている
球体である地球を表すにはどうしても不正確な部分が出てくる
そこでその地図の利点として何を求めるのかという選択が不可欠となる
選挙制度の望ましさは、結局その国が政治に期待することに適合しているかどうかによって決まる

日本は中央政府と地方政府が緊密に連携しながら活動するところに大きな特徴があるが、この特徴が行財政面での地方分権によって変化する一方で、地方政府の政治制度はほとんど手付かずである。
その結果、中央からの行政的統制は緩み、独自財源が増大することで自律的な活動の余地が増えた地方政府において、行財政の全体像や将来展望を無視し、現在の支持者の歓心を買うことを重視して行動する政治家が影響力を行使する余地が多く残されている。