コルシカの「島議会選」とは?

コルシカの地位、憲法に明記 仏大統領方針 地域主義の鎮静化図る

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産経新聞 2/9(金) 7:55配信
 【パリ=三井美奈】フランスのマクロン大統領は7日、自治要求を強める南仏コルシカ島で演説し、「コルシカ(の地位)を憲法に盛り込む」方針を示した。一方で、地域主義勢力が求めるコルシカ語の公用化などの要求は退けた。

 マクロン氏は「コルシカは共和国の中にある」と発言。隣国スペイン東部カタルーニャ自治州に刺激され、フランスで地域主義が台頭するのを牽制(けんせい)した。憲法改正の内容は明らかにしなかった。

 コルシカは皇帝ナポレオンの出生地として有名。1970年以降、分離独立を求める武装勢力の爆弾テロが続いた。90年代に地域語教育の容認、交通政策などで自治拡大が進み、テロは終結した。

 昨年12月の島議会選で独立や自治拡大を求める地域主義勢力が勝利。大統領の訪問を前に、(1)地域言語の公用化(2)地域住民としての法的地位の付与-を求めていた。

この記事の中で「島議会選」という表現が気になりました。地方圏(州)議会選ではないわけです。
それで他の記事を探してみると
ニューズウィーク日本版からの抜粋です。


フランス領コルシカ島に忍び寄るカタルーニャ独立騒動の余波
2017/11/29(水) 20:11配信

現在でもコルシカは他の地域とは異なり、州にあたるコルシカ地方自治体(Collectivite territoriale de Corse)の権限が強く、教育、放送、環境などの分野にまで、広く権限が認められるようになっている。また普通の州と異なり、コルシカ地方自治体の議会であるコルシカ議会の議長が執行部の長となるのではなく、それとは別に執行部とその長(首長)が議会によって選任され、執行部は議会に対して責任を負う(議会によって信任ないし不信任される)という特別の制度が取られている。

これに加え、さらに2018年1月1日から、コルシカ地方自治体と、それを構成する2つの県(オートコルス県とコルスデュスュド県)が合体して、単一の自治体、コルシカ自治体(Collectivite de Corse)が誕生することになっている新しい単一の自治体は、それまでのコルシカ地方自治体と二つの県が持っていた権限と予算を統括的に行使し、行政機関とそのスタッフも集中的に管理・運用できるようになる。また、それに伴い、道路整備、土地整備、経済開発、社会事業などの分野でも権限が拡大され、自治権が強化される。

こうした自治権の拡大は、民族主義勢力が長年求めてきたものだ。しかし、これは簡単に実現できたものではない。過去、2003年に同様の制度改正が政府との間でまとまったものの、同年7月に行われたコルシカ住民投票で、51%の反対により葬り去られた経緯がある。このように、自治拡大の動きに対しては、島民は決して一枚岩ではない。元々の現地住民と、移住してきた新規住民(「大陸人」と呼ばれたり、フランス人と呼ばれたりして、島民やコルシカ人と区別される)との間には、越えがたい断絶がある。フランス世論研究所(IFOP)の調査によれば、元々の現地住民の割合(有権者ベース)はおよそ50%であるとされている。

こうした経緯を経てようやく実現した、今回の制度改正のもとで、新しい単一の自治体の議会を選出する選挙が、来る12月3日と10日に行われる。その結果改めて選任される新執行部は、それまで県と自治体に分散していた権限を統括的・集中的に行使し、新しく広がった分野での権限をも梃子にして、大きな影響力を持つことになる。

つまり「島議会選」というのは、制度改正による、「コルシカ自治体」(Collectivite de Corse)議会としての選挙ということなのですね。
このような動きがあるので、さすがにマクロン大統領も神経質にならざるを得ないわけです。