代議制民主主義 第1・2章

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代議制民主主義
街鳥聡史 著
2015年11月25日 発行

自由主義・・・多様な考え方や利害的関心を持つ人々の代表者(エリート)が相互に競争し、過剰な権力行使を抑制しあうことを重視する、政治的な考え方。それによって、特定の政治勢力の威光にのみ沿った政策決定がなされず、人々の自由が守られる
民主主義・・・有権者の意思(民意)が政策決定に反映されることをまずもって追求しようとする。
代議制民主主義は、自由主義的要素と民主主義的要素の組み合わせで成り立っている

議会が政策決定に対して実質的に関与できず、官僚の過度で広範な裁量がまかり通っている。あるいは議員を含めて既得権擁護のために一致団結している、という負の議会イメージが流布されている。

経済成長がそれほど望めなくなった時代には、財源の制約が強まるために、増税、負担増、給付抑制や削減と言った有権者に好まれない政策決定が必要となる。
そのためには、民意に忠実なのではなく、むしろ民意とは離れて政策決定を行うことも時には求められる。
代議制民主主義が持つ、民主主義的要素の不徹底さがむしろプラスの価値に転じたといえよう。

冷戦の終結グローバル化の急速な発展の中で、既成政党の支持から離れ、無党派層として従来とは異なる回路を追及する人も増えていった。
かくして、既得権益の打破を訴え、特定の支持基盤を持たないままカリスマ的人気を持つ政治指導者と一般的有権者が直接的に結びつくことを目指した新党が各国に形成されるようになった。
イタリアのベルルスコーニアメリカのロス・ペロー、日本の日本新党、欧州各国の極右政党・・・

90年代後半からのインターネットの爆発的な普及
信憑性が疑わしい玉石混交の情報が莫大に存在
容姿や短く鋭い発言を武器に短期間で支持を集めてブームを巻き起こすには、極めて好適なメディア

代議制民主主義は、ヒトラーを筆頭に繰り返し扇動政治家の登場を許し、そのたびごとに反省が語られてきた。だが、民主主義は有権者の意向が政策決定に反映されることに意義を見出し、意向が形成される際の判断基準が理性的であることまでは求めていない以上、扇動政治家の出現は避けきれない面もある。代議制民主主義にとって大きな課題である。