アッティラの撃退(ヘリオドロスの間、ラファエッロの間)

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続いて同じヘリオドロスの間の「アッティラの撃退」です。
これは当時イタリア北部を荒らし、ローマを狙っていた、フン族アッティラに対し、452年、イタリアから出ていってもらうようにレオ司教らが交渉した史実をもとにしています。
ローマ人の物語」によると、主な交渉ごとは、フン族が出ていくことと引き換えに、彼らにいくらお金を支払うか、だったようです。
ともあれ、レオ司教の交渉は成功し、お金と引き換えに(金額は不明)、「追放」できたようです。
これがキリスト教側からだと、レオ司教は、アッティラの暴虐を非難し、それからの脱却と慈悲の大切さを説き、その熱弁にアッティラが説得され、イタリアから去っていった、という話になっているそうです。
これ以後レオ司教は教皇となりました。
交渉の中身はともかく、あの恐れられていたアッティラとの交渉役になったこと自体は、それこそ命懸けの、勇気ある行動だったと思います。
 
このラファエッロの絵画ですと、更にその史実が昇華しています。
向かって右半分が、アッティラの軍勢です(中央よりの顔に白斑のある黒馬に乗っているのがアッティラ)。
アッティラ側がいかにも攻められているような感じですね。
左側の、レオ司教側で、特に空に浮いているおじさんぽい天使が攻撃しているような感じにうつります。
そして、一番左には、騎乗しているレオ司教がいるのですが、ここも修復の関係で見えないのが残念です。
このレオ司教の顔は、教皇レオ10世の顔になっています。
もともとこの顔も、ユリウス2世の顔になる予定だったのですが、製作途中で崩御したということで、跡を継いだレオ10世になったそうです。
 
ローマ人の物語15 ローマ世界の終焉を参考にしました。またラファエッロの間全般についての参考資料として
ラファエロ クリストフ・テーネス著 タッシェン
ラファエロ ブルーノ・サンティ著 東京書籍
ラファエルロ 新潮美術文庫 若桑みどり 執筆   等を参考にしております)