コロー 名画に隠された謎を解く!

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コロー 名画に隠された謎を解く!
高橋明也 著
2008年6月10日 初版発行
 
「甘し国フランス」を絵画の中に表現するコロー。そんな彼の足跡を辿り、実際に描かれたその場所や建物を訪問する。著者が撮影した写真を絵画を見比べると、150年ほど経った現在でも、変わっていない風景や建物があるのには驚かされる。
(自分もシスレーピサロの跡を訪問したが、やはり似通った風景が残っていたのは感動し、また感心もした)
交通手段の乏しい当時にもかかわらず、パリ周辺、フランス北東部、そしてノルマンディーあたりまで、精力的に出かけて、作品を制作する。
多作だが、その分偽作も多い。1930年当時のアメリカで「コローは3000点の作品を残したが、そのうち1万点はアメリカにある」というジョークまでできたほど。
 
若いときには、当時の画家と同じように、イタリアに遊学した。そこで出会った光に満ちた風景を熱心に写生続けることにより、次第に独自のモティーフの選択と単純化、そして何より、優れた光の表現と色彩感覚を持って、イタリアの感動を描き出していった。
 
コローといえば風景画というイメージが強いが、女性の肖像画や裸体画も多く残している。「真珠の女」などは超有名作のひとつ。
 
コローは印象派の先駆者といわれる時もあるが、実際はその新しい美学を彼が理解していたとは思われない。そのようなある意味冷淡な反応にもかかわらず、ピサロやモリゾは彼に師事し、またシスレールノワールはコローの影響を作品に反映させている。