不動の兵士(バターリャ)

バスは海辺の街ナザレを離れ、バターリャを目指す。
この「バターリャ」というのは「戦い」という意味らしい。英語で言うとバトル、フランス語だとバタイユでしたっけ。
この街の近くで、1385年にポルトガル軍がカスティーリャ軍を破り、ポルトガルの独立を守ったとのこと。
神に対し、勝利に導いてくれた感謝の意をこめて、ここに修道院を造ったとのことだ。
この修道院世界遺産にも登録されている。

バスを降り、騎馬像(ジョアン1世?)のそばを通り、みんなぞろぞろと中に入っていく。
さて、この建物はゴシック・マヌエル様式らしい。確かにフランスのゴシック建築を見慣れた目からしても、それと似通っている部分がある。外側で建物を支える部分などである。
礼拝堂に入り、回廊を巡る。
この途中にある参事会室に、無名戦士の墓がある。
薄暗い中、キリストの磔刑の像などがあり、そこで兵士が銃を片手にじっと、身動きせず立ち、墓を守っている。これはこれでたいへんな仕事だと思う。
地味な制服で、アテネやロンドンとはすいぶん雰囲気が違う。まあそれはそれで質素でりりしい感じがしてよい。
最初に見たとき、暗くてよく分からず、なおかつ全く微動だにしないため、失礼ながらロウ人形ではないかと思ってしまった。
子供づれなどは、一緒に写真を撮っていた。

一旦外に出て、未完の礼拝堂に行く。
ここはその名の通り、完成していない。ちゃんとステンドグラスを入れているところもあるが、中心部分には天井が無く、開けっぴろげの状態になっている。
やさしい冬の午後の光が、そのまま内部に差し込んでいた。