オーヴェールのゴッホ

画集 オーヴェールのゴッホ 1890年5月20日~7月29日
アラン・モッテ著
斎藤智子・渡部葉子訳
朝日新聞社
1990年7月29日 第1刷発行
S図

画家ゴッホの、オーヴェール・シュル・オワーズでの人生最後の70日間を絵、ゴッホや弟のテオの手紙と共に詳細に追っかけています。
また、昔の絵葉書や、近年に撮った写真も掲載し、当時との比較に使用しています。
特に昔の消印つきの絵葉書を多用しています。
フランスでは、よく露店で昔の絵葉書を売っており、おじいさんが背中を丸めて指で探っていました。自分はその時は特に興味は無かったのですが、今となっては、いくらか買ってみるのも味があってよかったかもしれません。
この舞台、オーヴェール・シュル・ロワーズは3回ほど行くことができました。
最初にいったのは5月ごろでした。フランスに着いて間もない頃で、ゴッホとテオの墓の近くから見た、緑の麦畑の美しさに感動した思い出があります。
二度目はそれからまもなく、仕事の関係で、レリー城のソワレに出ました。
少し早めに行って、やはり緑の中を歩いていると、ポニーに乗った子供たちとすれ違いました。
三度目は、これも仕事関係でした。ゴッホが住んでいたところのレストランで一緒にフランスの県会議員さん達と食事をしました。そのうち映画好きの人がいて、北野武の「菊次郎の夏」の子役の演技が上手かった、などと言っていた思い出があります。
オーヴェール・シュル・ロワーズで嬉しかったのは、昔の村の部分がかなり残っているところです。あまり観光地化しすぎると、かえって興ざめになってしまいます。
パリから電車で行くのは少し不便ですが、かえってそれがありがたみを増していると思います。
今後も、しっかりと残していただき、情熱の、そして悲劇の画家ゴッホが見た風景を保っていただきたいものです。