ベルギーにゃんこのB-1グルメ①

ベルギーはブリュッセルのグランプラス、今日はいつもと違い、あちこちからいい匂いがしてきます。
そう、今日はヨーロッパでは初のB級グルメ大会、ユーロB-1グルメが開かれているのです。広場中屋台がいっぱいで、肉やソーセージ、パンやポテト、チーズなどのいい匂いがたちこめています。
そこに我らの呑気で面白い顔をしたデブ猫、スマイリーが新しい飼い主のおばあさんと一緒にやってきました。
「スマイリー、今日もたくさん食べるのよ」
おばあさんはスマイリーが可愛くてしょうがないようです。
スマイリーも目をキラキラさせて、いろんな屋台を見ています。しかしどの屋台も長い行列が出来ていました。
「どこも待ち時間が長そうだニャー」と思いつつ歩いていくと、広場の隅っこのほうに来てしまいました。そこにポツンと、人気のない屋台がありました。
それは日本のある街の焼きそばの屋台でした。日本でのB-1グルメ大会では優勝した経験があるのですが、なにぶんここはベルギー、焼きそばにはなじみのないヨーロッパ人ばかりで、全く人気がありません。
スマイリーはとりあえずおなかがすいて食い意地が張っていたので、その屋台の前に行きます。
屋台の人たちも、はるばる日本から来て、時差ぼけや慣れない環境であまり元気がないようです。
スマイリーはおばあさんにニャーと甘えて、焼きそばをねだります。
「はーい、スマイリー、わかったわよ」とおばあさんは答え、一皿購入します。そしてスマイリーの前に置いてあげました。
スマイリーは早速かぶりつきます。疲れ気味の屋台の人たちも、そんなベルギーにゃんこに注目しました。
しかし、スマイリーは一口食べた後、不機嫌そうな顔をして、プイと横を向いて、食べるのをやめてしまいました。
「どうしたのスマイリー」
おばあさんは心配になります。
そしてそんな姿を見て、屋台の人たちも心穏やかではありません。
「なんだこのデブ猫は」「生意気な野郎だ」「とっととつまみ出せ」と屋台の男たちがスマイリーを取り囲みます。
彼らはスマイリーが味にうるさいグルメなニャンコなんて知る由もありません。
ただのでぶっちょい猫に怒り心頭です。
さあ、スマイリーの運命は・・・
(続く)