漱石と行くヨーロッパ

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漱石と行くヨーロッパ
斎藤 明雄 著
文芸社 発行
2005年2月15日 初版第一刷発行
 
イタリア語学科を卒業し、保険会社勤務の著者による旅行記。パリ勤務の時もあったようで、その時の話が多いように思われる。時間の沢山ある学者や作家のように、細かくてディープな旅行記でない分、かえって自分などは親しみがもてる。たださすがにイタリア語科出身だけあって、地名表記は「ナーポリ」や「ミラーノ」などこだわり(というより正しい音引き)が見られる。
 
旅行記のはしばしで、漱石の作品をオーヴァーラップさせている。作品の情景を引用することもあれば、漱石の口を借り感想を述べさせているものもある。
 
欧州の旅行に、妻だけでなく小さな娘を連れていく筆者。子供だからいろいろ心配だが、幼児期にこそさまざまな体験をさせてあげたいと思っている。イタリアでは、やたらイタリア人が娘さんに声をかけてきた。子供に声をかけることで、みんな自分の仕事や生活を楽しんでいるように思われる。
 
ストラスブールで歴史的な背景を意識しながら歩いたせいで、筆者はこの街に対して赤、白、青のフランスの三色国旗を思い出すようになった。そして欧州の街の色を連想する。
白・・・コルドバ
黄色・・・北イタリアのモーデナ
青・・・南イタリアカープリ島
緑・・・スイスのベルン
赤・・・パルマスタンダール赤と黒より)
ブリュージュは灰色だと思っていたが、夏に訪問した時はオレンジ色だった
(12月に訪問したが、灰色でもいいと思う)
 
イタリアのミラーノからオランダのアムステルダムまで列車で移動した筆者。漱石の「三四郎」が九州から列車で上京する場面を思い出す。その時、三四郎は列車に乗ってくる女の肌がだんだん白くなってくるさまを観察する。
筆者はイタリアからスイス、ドイツを経てオランダに近づくにつれ、だんだん女性の背が高くなっていくことに気づく。