女三人のシベリア鉄道

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女三人のシベリア鉄道
2009年4月10日 第一刷発行
 
与謝野晶子宮本百合子林芙美子という、日本を代表する三人の女流作家。
彼女たちはいずれもシベリア鉄道に乗ったという経験を持つ。
その旅路のあとを追って、著者の森まゆみさんも勇躍シベリア鉄道に乗り込む。
シベリア鉄道沿線だけでなく、中国東北の東清鉄道、そしてモスクワからミンスクワルシャワ、ベルリン、そしてパリまですべて鉄道で訪ねていく。
彼女たちの旅路の出来事だけでなく、なぜ当時女性の身でシベリア鉄道に乗ってまで旅行しなければならなかったのか、という理由まで丁寧に調査している。そこから伺える作家たちの波乱万丈の人生も興味深い。
そうした三人の作家たちの背景を踏まえつつ、著者の森さん、更には同行したロシア人や中国人学生とその家族たち、また旅で出会った人々の人生もシベリア鉄道を通してオーヴァーラップしているため、きわめて密度の濃い旅行記に仕上がっている。
ダブルチーズバーガーというか、具沢山の分厚いサンドイッチを口を大きく開けてえっちらおっちら食べていくような感じか?(どんな比喩だ!)
もう少しきれいな表現を使えば、四重奏でそれぞれの奏でる音がリフレインされていくような感じ、かもしれない。
ひとつ面白かったところ。森さんが中国の医者に見てもらったとき、作家特有のデスクワークなどでいつも下を向いており、どうしても頭に血がめぐりにくくなっていると指摘される。その治療法として「凧揚げをしなさい」とのこと。