さよなら 冬のフィエーゾレ

キオスクでの買い物を済ませ
すでに停車していた
フィレンツェ行きのバスに乗り
時計と車窓を眺めながら
出発までのひとときを待つ

ほんの数時間の滞在でも
ひょっとしたら
これが最初で
そして最後の
フィエーゾレとの邂逅に
なってしまうかもしれないと思うと
何気ないミーノ広場の眺めも
やっぱりちょっと切なくなる

ほぼ定時刻に
バスはフィエーゾレを発つ
くねくね曲がりながら
時々バス停に止まり
フィレンツェに行く人たちを
新たに乗せて
山の瀟洒な家並みの道を
バスはのんびり下りていく