銀色のフィレンツェ

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銀色のフィレンツェ メディチ家殺人事件
塩野七生 著
朝日新聞社
2002年5月20日 第11刷発行

今回、フィレンツェに行くにあたって、飛行機の中や空港での待ち時間、何か読むものはないかなと、渡航直前に買った本である。
近所のそこそこ大きい本屋の文庫本のコーナーをいろいろ見たが、結局ファンである塩野先生の本になってしまった。
内容は、衰退期に入ったフィレンツェにおいて、主人公であるヴェネチアの貴族がさる事情で公職を3年間離れざるを得なくなり、その間フィレンツェを訪問した際に起こった事件を描いている。
公職を追われたといっても、名誉こそ傷つけられはしたものの、お金に不自由することなく、自由に羽を伸ばせる状態であった。うらやましい。
この主人公とその愛人のようになる女性はフィクションだが、その他の重要人物は実在の人物で、ロレンツィーノによる公爵アレッサンドロの暗殺など、実際の事件を織り交ぜている。
また登場人物が、ロレンッオ・イル・マニフィーコやマキアヴェッリ、そしてラファエロなど、最も華やかだった頃のフィレンツェを造った人々の思い出や、議論に花を咲かせているのも興味深い。
小説という形態でも、内容はやはり塩野ワールド全開で、フィレンツェという街を、更によく理解する事ができたのは幸いな事だった。