本棚の歴史

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本棚の歴史(新装復刊)
ヘンリー・ペトロスキー 著
池田栄一 訳
2017年5月25日 発行
白水社 発行

主に欧州の本棚の歴史について詳しく述べられています。
もちろん本棚は本の形態により変化していくものなので、本と本棚の共進化の過程をたどっています。

古代において本の形態は巻物(巻子本)だったが、それは帽子箱のような入れ物に縦置きされるか、棚に平置きされた。

二世紀頃から、冊子本(コデックス)へと本の形態が移行し始めると、本棚の方もアルマリウムあるいはプレス(戸棚)、チェスト(保管箱)へと進化する。

中世になって写本文化が栄えると、斜面をなす書見台が登場した。そして本は鎖で書見台につながれた。
そして蔵書数の増加に対抗するため、アルマリウムと書見台を組み合わせたストール・システムが導入され、本の縦置きが始まった。この時代、本は背を奥に、前小口を手前にして棚に収納されていた。

15世紀半ばの活版印刷の発明により、本と本棚の歴史に革命的変化をもたらした。
少数で大型の手写本は大量で小型の活版本に取って代わられた。
つまり書物の流通形態が根本から変わり、個人もまた本を蔵することが容易になってくる。
これ以降「ライブラリー」は公共の図書館から個人の書斎へと分化していくのである。

本棚の形態は16世紀の大学図書館を中心に、ストール・システムがウォール・システム(壁面書架)へと切り替えられる。
そして圧倒的に増え続ける本のために可動書架を導入している。
更に現在コンピューター化されたデータベースが伝統的な本の形態に取って代わろうとしているが、それが将来どのような事態を生じるかは、まだわからない。

(この文は上手く要約されていた訳者あとがきから引用しました。昔読書感想文を書いていた時のことを思い出しました(笑))