イタリア古寺巡礼 4・5 ナポリ・シチリア

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ナポリ国立美術館で見た「シヌエッサのヴィナス」を激賞する和辻哲郎さん。
この作はローマのニオベの像やカピトリノのヴィナスに見ることの出来ない「雄大さ」がある。
この像の作者が狙っているのは繊細な感じではなく、剛宕(ごうとう)とも言える成熟した女体の美しさである。
 
シチリアのアグリジェントでみたギリシャ建築の印象
第一に、その粛然とした感じ。実に静かで、しんとしていて、底力がある
第二に、石材を完全に征服して、生きたものにしている。柱の丸み、そこにつけた竪溝、軒周りの三条の縦線により、石を生き生きとしたものにしている。
 
ヨーロッパでは通例、文化の歴史をギリシャから始める。美術史、文芸史、哲学史、いずれもそうである。
ギリシャ人のやったことは、実に例外的、天才的である。
ギリシャ人はその天才的な才能によって人類をあるべき方向へ引きずっていったのである。
そういう民族が傍らにおり、その民族の仕事により教育されたことは地中海沿岸諸民族の、そしてヨーロッパ全体の、非常な幸福であったとも言える。