彫像群と、ある墓碑(チェチーリア・メテッラの墓、ローマ)

チェチーリア・メテッラの敷地内に入ります。
ここはカエターニ一族が14世紀に付け加えた所で、今は彫像が展示されています。
首のない彫像が多いのが気になりますが、単なる経年劣化ではなく、人為的に破壊されたのでしょうか?
 
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この中で、下の写真の、墓碑と思われる浮彫が気になりました。
ギリシャ美術の一分野に墓碑もあるのですが、その特色は、亡くなった人と、生きている家族などが一緒に刻まれているところです。
生きている人は、亡くなった人を傷ましく見つめているのに対し、亡くなった人の視線は虚空をさまよい、もうあちらの世界にいっているかのようです。
ここにある墓碑は、ローマ時代にその影響を受けたものと思われます。
 
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子どもが中央におり、誰かの手を握っています。
おそらく右側には、その手の全身の浮彫があったものと思われます。
そして左側には、その子の父親らしい人が肩に手をやり、慰めているかのようです。
彼ら二人の視線は、明らかに右側に注がれています。
この状況から想像するに、右側にいるべき人物は亡くなった母親で、その夫と子どもが彼女の死を悼んでいる、と思われます。
全く資料がないので、すべては自分の勝手な想像なのですが、もしそうだとすると、悲しみが見事に表現されている墓碑と言えるでしょう。
 
ギリシャの美術 澤柳大五郎 著 岩波新書 を参考にしました)