サン・ベルナール峠の攻防(ツール・ド・フランス第16ステージ)

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第16ステージはマルティニィ~ブール・サン・モーリス。
スイス領内を出発し、イタリアのアオスタ地方を抜けて、フランス領に達するという、三ヶ国にまたがるコースである。
また二つのアルプスの峠、グラン・サン・ベルナール峠とプティ・サン・ベルナール峠を、上って降りて、というハードなステージでもある。
ちなみにプティ・サン・ベルナール峠はハンニバルがアルプス越えの際通った、という説もあるそうだ。
この日は両方の峠のちょうど中間点から見始める。
アルプスの美しい風景が広がる道を、選手は進んでいく。いわゆる「絵になる風景」が満喫できた。
中間点から、次第に傾斜がきつくなり、「これが『つづらおり』と呼ばれる道です」と説明できるほどの、典型的なくねくね道をえっちらおっちら登っていく。
先頭グループに続き、総合一位でマイヨジョーヌを着たコンタドール、そしてランス・アームストロングを含む集団が追っかける。
その集団で、サクソバンクの選手がスパートし、コンタドールはついて来れたものの、アームストロングは遅れてしまった。
やはりアームストロングも年だな、と思っていたのもつかの間、彼は再び坂道を力強く上っていき、再び追いついてしまった。
やはりアームストロングは凄い。

群衆の間を抜けて、プティ・サン・ベルナール峠に達する。
ここからは下りで、猛スピードで降りていく。
落車する選手もいて、かなりスリルがある。
先頭グループは、前の4人、そして後ろの4人となった。
そして後ろの4人がまさに前に追いつこうとした瞬間、アスタルロサがスパートをかけ、そのままゴールへ一直線。ステージ優勝!
解説によると「ここしかない」というスパートだったらしいから見事なものである。

このレースに伴い、湖の上にカヤックで自転車の形を作る人、草原で輪になって踊っている人もいた。
また「bienvunue  le tour de France」とか書かれた巨大な垂れ幕をタイミングよく垂らしていた。
ほんとにツールドフランスは、フランスの街ぐるみ、村ぐるみのお祭りなんだなと、改めてしみじみするのであった。