幕末欧州見聞録

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幕末欧州見聞録-尾蝿欧行満録
市川清流(渡) 著
楠家重敏 編訳
新人物往来社 発行
1992年8月20日 初版発行

1862年1月22日から、1863年1月29日まで、ほぼ1年にわたる、欧州への幕府の使節(翻訳者として福沢諭吉もいた)の記録である。
これはいわゆる欧州列強との、不平等条約の改正(開港時期の延期)及び、欧州視察のために行われた。
勿論この時期、船により、時には猛烈な悪天候もある中、長い時間かけて欧州まで往復するわけで、その苦労は現代とは雲泥の差である。
この著者は、従者ということもあり、会談内容についてはほとんど触れられていないが、その代わりに、現地で視察した武器などの工場、博覧会や博物館、更には鉄道、建物から、サーカスのような見世物にいたるまで、幕末人から見た当時のヨーロッパ文化に対する驚きが述べられている。
また、「見る」立場でもあったが、当時としては珍しいサムライに対して、現地では逆に多くの人から「見られていた」というのも、興味深くもあり、また大変だったんだろうな、と思う。