パリのギリシャ風サンドイッチ屋さん

自分がパリの下宿に住み始めた頃、ちょうど真正面にも中華の総菜屋があった。
しかしさすがに過当競争なのだろうか、しばらくしてギリシャ風サンドイッチの店に変わってしまった。
そういう店もパリにはよくある。
大概大きな肉の塊があり、それを削ぎ落としてサンドイッチの具に使っている。
基本は羊の肉だそうだ。
それでも味はポテトフライやオニオンなどの付けあわせもあって、普通のハンバーガーのようにおいしく食べられたので、ちょくちょく買いに行ったものだった。

そこで働いている人は、若い兄ちゃん二人くらいと、50代くらいの年配の男性だった。
親子かもしれないが、よくわからない。
本当にギリシャ人か、それもよくわからない。一応ギリシャはEUの中なので、移民の関係などで当局から目をつけられにくくするため、「ギリシャ風」を名のっているのかもしれない。(全くの想像です)
ある晩、サンドイッチを買いに行ったら、年配のおじさんが40くらいの女性客と話をしていた。
じっと見ていると、その内、おじさんは彼女の電話番号を聞き出すことに成功した。
若い店員がはやし立てる。おじさんは少し興奮していた。
そのおじさんが、ぼくのサンドイッチを作ってくれたのだが、興奮が続いていたのか、ドレッシングをやたらかけてしまったのだ。
おじさんに機嫌よく渡され、文句を言うのもなんなので、そのまま下宿に帰り、少し濃い味のサンドイッチを味わう。
その後、あのおじさんのランデヴーは成功したのだろうか。
よくわからない。