少し前の記事で、フランスで二人目の女性首相誕生について書いたのですが、お隣のイタリアでは初の女性首相が誕生するかもしれない、とのことです。イタリアとフランスでは首相の権限や任命方法は明らかに異なるため、単純に比べるのも変なのですが、それでも隣国ということもあり、最終的にはどうなるのか気になります。
イタリアは首相とかの政治情勢が、なんだかいつも揉めて不安定な印象があります。偏見もあるのかもしれませんが。
【パリ時事】イタリアで、初の女性首相が誕生するかもしれない。
事実上の連立政権崩壊に伴い、9月25日に前倒し総選挙の投票が行われる。伊メディアによれば、政党支持率で首位に立つ「イタリアの同胞(FDI)」を中心とした右派連立政権発足の可能性が高く、FDIのジョルジャ・メローニ党首(45)が首相を狙うと報じられている。
◇唯一の野党
ドラギ政権は昨年2月、ほぼ全政党から支持を得て発足したが、メローニ氏のFDIは加わらなかった。ほぼ唯一の野党となって政府を批判し続けた。
この戦略が的中した。エネルギー需要回復などで昨年から続く燃料高騰や、ウクライナ侵攻に伴う物価高に苦しむ庶民の怒りを受け止め、支持急拡大に成功した。
「イタリア人はこの茶番劇に付き合う必要はない」。20日の上院での信任投票を前に、メローニ氏は訴えた。連立与党の一角、左派「五つ星運動」の内紛に端を発したドラギ氏の辞任騒動を突き放し「FDIは首尾一貫している」と右往左往する連立各党を嘲笑した。
メローニ氏は1977年、ローマ生まれ。政治活動に飛び込んだのは15歳、92年のことで、ミラノ地検が政治の腐敗を次々暴いた激動の年だ。第2次大戦直後、ムソリーニ支持者が結成した「イタリア社会運動(MSI)」に身を投じ、腐敗した既得権層を批判した。MSIの後継政党「国民同盟」の学生部で全国指導者も務め、国民同盟と合併した「フォルツァ・イタリア(FI)」創設者のベルルスコーニ首相(当時)に見込まれ、2008年に閣僚に抜てきされた。
◇恐れるな
伊ANSA通信によれば、FDIの支持率は約23%でトップ。極右「同盟」が13~14%、FIが約8%だ。3党は「中道右派連合」として関係が深い。選挙後の最大勢力になると見込まれている。
ただ、FDIと同盟は元来、欧州連合(EU)懐疑派。コロナ後の経済復興で頼るEUの結束をイタリア自ら乱すと3党の政権を恐れる声もある。これを意識するメローニ氏は最近、対EU批判を弱め、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支持を表明、国際社会と同調する姿勢も見せている。
メローニ氏は23日、イタリア紙スタンパ(電子版)に「恐れることは何もない」と語るなど懸念の払拭(ふっしょく)に懸命だ。投票まで2カ月。離合集散の激しいイタリア政治の一寸先は闇で、選挙後の運命はメローニ氏自身にもまだ分からない。