海に消えた星の王子さま

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海に消えた星の王子さま
ジャック・プラデル/リュック・ヴァレンル 著
神尾賢二 訳
緑風出版 発行
2009年6月5日 初版第一刷発行
 
1944年7月31日、サンテグジュペリはライトニングF-5Bに搭乗し、コルシカ島から偵察飛行のため離陸した。
そして行方不明となる。
不明理由として、自殺説、機械の故障、操縦ミスなどさまざまだった
機体も長年発見されず、サンテグジュペリ神話は膨れ上がる一方だった。
この本では、2004年3月の機体の発見までの過程とともに、彼を撃墜したドイツ兵パイロットの特定や、撃墜時の状況についてまで、述べられている。
その撃墜したパイロットも、サンテグジュペリをよく知っており、彼の本で飛行士にあこがれた一人だった。
後で乗っていたのがサンテグジュペリだと聞かされ、激しく悔やんでいる姿は哀しい。
また機体発見の調査の過程でも、サンテグジュペリの遺族と捜索者たちとの間にいざこざがあったりして、つくづくセンシティブな問題だなと考えさせられた。
これらの発見自体は、大いに意義があることだと思うが、その一方、永遠に謎でもいいのでは、という複雑な思いに駆られてしまう。
あたかも星の王子様が、最後には幻のように、謎を残して消えていったかのように・・・。