庭仕事の愉しみ(ヘルマン・ヘッセ)

イメージ 1

庭仕事の愉しみ
ヘルマン・ヘッセ 著
フォルカー・ミヒェルス 編
岡田朝雄 訳
草思社 発行
1996年10月1日 第17刷発行

ヘルマン・ヘッセによる、庭仕事に関してのエッセイ、手紙、詩、短い小説などをまとめた本。
合間にカラーのイラストや、モノクロの写真が挿入されている。
本の中で、「土と植物を相手にする仕事は、瞑想するのと同じように、魂を解放し、休養させてくれます」という一文がある。
ヘッセにとって、庭仕事は、祈りのように、自分を癒すための重要な作業だったのだろうと思う。

自分は庭仕事はほとんどしたことがないが、フランス語や英語など、外国語の勉強をしているときに、ある種の瞑想に近いものを感じる時がある。
自分の語学力はなかなか上達しないが、庭仕事も語学の勉強も、ある種の宗教的な祈りや写経のようなものに近いのかもしれない。
単に庭が美しくなったり、語学が少しずつでも上達したりという目的より、さらに大きな何かを追いかけている気がしている。

1942年3月にヘンネット男爵夫人宛に書かれた手紙の一文。今の時代にも通じるのだろうか。
「この世の中は陰惨に見えますが、やはり春になると、どの花からも永遠の快活さが笑いかけます。」