メディチ家 その勃興と没落

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メディチ家 
その勃興と没落
クリストファー・ヒッバート 著
遠藤利国 訳
1984年12月10日初版第1刷発行
リブロポート

この本は、題名が示すとおり、メディチ家の起こりから終わりまで、その通史を書いている。
今までもマンガ・メディチ家や、塩野先生の本を前知識として読んだこともあり、それらのことを思い出しつつ通読する事ができた。
第一次資料を駆使し、客観的にメディチ家の跡を追っている。
訳者の後書きには、メディチ家の最盛期がルネサンスという人類の一大エポックでもあった、と叙述している。
イタリア・ルネサンスは流血・狂信・虚飾などの愚かしさと、敬虔・理想・美的感覚・友情などの崇高な面を併せ持つ。
そしてメディチ家自身もそうだった。
建国の父コジモの賢明さや、ロレンツオ・イル・マニフィーコの華やかさと共に、メディチ後期のだらしなさまで読んでいくとその感を深くする。
マキャベッリの時代でも、ロレンツオの死で筆を置いているし、現代のマンガでも後期の方はマンガにしにくかったようで、要約と挿絵で終わっていた。