ローマ人の物語Ⅸ(ハドリアヌス帝)

トライアヌスの次はハドリアヌスローマ皇帝となる。
少年の頃からギリシャ文明と狩猟を好む。
ローマの感覚では質実剛健には反する、ある種官能的な男。
年上の女性プロティナからの援助。
皇帝登位時の謎。トライアヌスは本当にハドリアヌスを指名したのか?
皇帝初期での4人に対する粛清。これも謎。本当にハドリアヌスの意思で彼らを殺したのか。
小説家ユルスナル(ユルスナールとも表記)の想像では後見人アティアヌスの独断との説をとる。
塩野先生はそれとは異なる見解。しかしユルスナルの芸術は認める。

その後旅に生きたハドリアヌス
ややもすると壊れかけない巨大な帝国を繕うかの如く。
ブリタニアの防壁、憧れのギリシャ北アフリカなどなど。
土地だけでなく、法律も繕おうとするハドリアヌス。ローマ法大全の完成。
20年にわたる統治。気難しくなる皇帝。
最後に一編の詩を作り死んでいく。

その後皇帝の神格化を否定する元老院
しかし次期皇帝アントニウス・ピウスによる強い、涙も流さないばかりの熱意。
そして無事神格化に至る。
おかげでハドリアヌスの帝国再構築の苦労も後世に残ることとなった。