ブールジュの可哀想なオダリスク

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ブールジュの丘からの眺めを見た後、ジャック・クールの館に行く。
この人はもともと貧しい家の出だったが、地中海貿易に成功し、ついにはシャルル7世の財政官まで出世したらしい。
しかしこの時は、中には入らなかった。見学にはガイドが付く為、時間が限られている。時間の都合があわなかったようだ。

近くの博物館に入る。
ここではオダリスクという題の、女性の彫像が気になった。
オダリスクとは、手元の辞書によると「(オスマントルコの)ハレムの女」とある。
フランスの芸術において、オリエンタリズムの流れとして、アングルやルノワールによる絵画の作品がある。
異郷の女性として、男の憧れがあったようだ。
この博物館の彫像は、リアルでスタイルもよく色っぽい。
ただ、たいへん気の毒に思ったのは、設置している場所が悪い。
建物の端っこの、ふきっさらしに近い部屋なのである。裸の身には寒いに違いない(?)
なおかつ傍には段ボール箱やブールジュ市のごみ入れまであった。
ああ、哀れなることよ。
いくら異教徒のハレムの女だからといって、芸術作品に対してあんまりである。
まあ、市当局も、限られた予算の中、いろいろ事情があり、展示場所も限られていたのかもしれない。
せめてもの償いとして、この場で「ブールジュのマリアンヌ(フランスの象徴)」の称号を与えたい。
(といっても別にどうってことではないが・・・)
そういえば、かぶりものがフリジア帽に見えないこともない。(かなり苦しい)
今はどうなっているかわからないが、適切に展示してもらっている事を祈るのみである。

と思っているうちに帰りの電車の時間が来た。ブールジュのマリアンヌに見送られながら、旧市街を離れ、駅までの真っ直ぐな道を進んでいった。