あるじゃん!(フランからユーロへ)

自分がヨーロッパにいた時、1年目は世紀の狭間で年を越し、2年目はユーロ誕生で年を越した。
ちょうど歴史的な瞬間にヨーロッパにいることができ、幸運だったと思う。
この内、ユーロについては、自分が到着した時(ユーロ導入まで1年9ヶ月前)、既にフランとのレートは固定されていた。
よって、レシートなどにおいても、すでに合計金額においては、ユーロも併記されていた。それで徐々に慣れてよね、という感じで、レシートのすみっこから静かに訴えていた。

フランスの場合、銀行の通帳はなく、毎月一回、郵送で収支報告書を受け取る。
それの表示が、2001年10月途中にユーロに変更になった。
金額自体、約7分の1に減ってしまうので、最初は違和感があったが、すぐに慣れた。
というか、なにぶん、毎日の生活がかかっているので、慣れざるを得なかった。

2002年1月1日、ついにユーロ通貨導入が始まった。
ニュースでは、0時過ぎと同時に、ユーロを手に入れて喜んでいる人を映し出していた。
自分も、朝10時頃、家の周りをうろついてみた。
一応フランスでも、正月は祝日だが、現金引出機は開いている。
どうなっているかチェックしていく。もう既に、半分くらいは、ユーロが引き出せるようになっていた。
普段は、安全上の問題もあり、街中の引出機はあまり使わなかった。
しかしこの時は、わざわざ3箇所くらいから引き出しては、サラッピンのユーロを愛でていた。
おバカなことであった。

どこにでも頑固な人はいるものである。ニュースで、フランしか使いたがらないおじさんを取材していた。カフェとかで、ちまちまフラン硬貨を出していたりした。
1月1日以後、しばらく併用期間があり、フランの使用も可能だった。
しかしその後は当然のことながらユーロのみである。
そのおじさんは今ごろどうしているのだろう。少し心配である。