アテネ2002 ユーロと雪を迎える

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衛兵の交代式を見た後、裏の国立庭園を散策し名残を惜しむ。
そろそろ時間が来たので、大通りに行き、空港行きのバスの停留所を探す。
停留所を見つける。すでにバスは止まっていた。
運転手さんに空港行きである事を確認し、乗り込む。
左側の席に座り込む。運転者さんは一旦バスを離れた。
いよいよ街を離れるとなると、たまらなく切ない気分になる。プラハやダブリンでも感じたことだった。
ふと窓の外を見ると、大きな布製のポスターが建物を覆っている。2002年1月1日からユーロが始まりますよ、という内容のポスターだった。
ちゃんとドラクマとユーロの交換レートも書いてある。
EUの主要国に遅れることなく、無事ギリシャもユーロの第一陣に加わる事ができた。
本来、ギリシャはヨーロッパ発祥の地だった。ここから欧州の本流が流れ出していた。
しかし、時代の中で、その本流はよそに移り、ギリシャの地においては地下水のごとく、弱々しく流れているにすぎなかった。
その後、数々の苦難の後、さまざまな文化遺産を復活させ、なおかつヨーロッパの新しい動きにも付いていっている。
長い苦難の歴史を思うと、感慨深いものがある。

さて、バスの中で感傷にひたっていたが、バスが予定の時間になっても発車しない。
最初はこんなものだろうと思っていたが、さすがに少し心配になってきた。
センティメンタルな気持ちが、薄れてしまった。いい所だったのになあ。
やっと運転手さんが戻ってきて、無事発車する。
バスが動き出し、外の風景も動き出す。再び感傷的な気分に戻る。
行きのバスより、街中を通る時間が少なかった。バスはひろーい郊外を走る。遠くにやはり木々の少ないなだらかな山が見える。
空港に到着する。行きはあまり感じなかったが、内部の新しさに驚く。この時空港はできたばっかりだった。簡単な昼食を取る。また余っていたドラクマプラハと同じように好みの辛口の白ワインを買っておく。
ギリシャをさよならを言い、思い出と共にパリ行きの飛行機に乗る。
途中、窓から見た、旧ユーゴの険しい山々が印象に残る。間には雪が残っており、いかにも寒そうだった。

パリに戻り、しばらくしてアテネに関するニュースを見て驚く。
なんと雪が降っていたのだ。パルテノン神殿やイロデイオ音楽堂に雪が積もっている情景を映し出していた。年明け、入れ替わりにギリシャに行っていた同僚は、おかげで足止めを食らっていた。
晴男が去ったからといって、まさかアテネに雪が降るとは思わなかった。