ダブリンのオコンネル像(アイルランド)

ダブリンのオコンネル像

 

画像はダブリンのオコンネル像です。
このダニエル・オコンネル(1775-1847)はアイルランドの解放者として尊敬されています。
アイリッシュカトリックの家に生まれたオコンネルは、富裕な叔父の遺産を相続し、フランスに留学しました。
その時期、ちょうどフランス革命が起こり、現場で革命を見て、強い影響を受ける一方、暴力行使には激しく嫌悪感を覚えます。
彼が25歳の時、イギリスはアイルランドを併合します。
併合には反対しましたが、暴力的手段を嫌い、「Repeal(撤回)!」という言葉を合言葉にし、リピール協会という運動団体まで作ります。
また1843年8月15日、オコンネルはタラの丘という、アイルランド人にとっての伝説の地で大集会を開きました。
非暴力の点がオコンネルの魅力でもありますが、その一方、非暴力ゆえに「青年アイルランド党」という過激な連中から突き上げられ、引退を余儀なくされました。
こうした立派な像が残っているのは、非暴力という面も大きいと思います。
もちろん世界には、独裁者や好戦的な人の像もたくさん残っていますが、かなりの年月を経て、暴力の印象が薄れている場合が多そうです。
多くの場合、政変の際、引き摺り倒されてしまっています。
そういう面でも、オコンネルさんの像は、今後永遠に残りそうです。
ダブリン訪問の際には、ちゃんと挨拶しておきたい像ですね。

(司馬遼太郎著、「街道をゆく 愛蘭土紀行」を参考にしました)